昭和18年11月25日誕生。疎開地の沼田で終戦を迎える。焼け跡の風景、崩壊した無数の建物。僕の体の中にはいつも戦争が焼き付いている。昭和36年ドイツダンスを江口隆哉に師事。37年即興舞踏を大野一雄氏に師事。35歳の頃家族全員で当時の西ドイツに移住。ルドルフ・シュタイナーの思想を研究、その身体技法オイリュトミー をエルセ・クリンク女史に師事。帰国後様々なオイリュトミー作品を発表。平成6年頃よりダンスの舞台活動を再開する。
代表作に『花粉革命』、『我が黙示録』、『櫻の樹の下には』。著作には『天使論』、『聖霊舞踏』、『神々の黄昏』等がある。
HP:https://akirakasai.com/jp/
笠井叡Akira Kasai
大瀧拓哉Otaki Takuya
新潟県長岡市出身。愛知県立芸術大学及び大学院を首席で卒業、修了。
ドイツ国立シュトゥットガルト音楽演劇大学大学院修了。アンサンブルモデルン・アカデミー(フランクフルト)修了。パリ国立高等音楽院第三課程現代音楽科修了。
国内外のいくつかのコンクールで入賞後、2016年フランスで行われたオルレアン国際ピアノコンクールで優勝。これまでにフランス、イタリア、ブルガリア、日本、韓国などで多くのリサイタルや音楽祭に出演。
アンサンブル奏者としてもドイツ、フランスを中心にヨーロッパ各地でコンサートを行い、これまでにアンサンブル・モデルン(ドイツ)、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(フランス)など、ヨーロッパの著名な現代音楽アンサンブルと共演している他、協奏曲のソリストとしても、オルレアンシンフォニーオーケストラとのバルトーク第3番、パリ音楽院ロレアオーケストラとのリゲティのピアノ協奏曲、新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団とのチャイコフスキー第1番、ショスタコーヴィチ第2番などを共演する。
また講師として日本のみでなく、フランス各地10箇所の音楽院でのマスタークラスや、ソウル大学音楽学部でのワークショップを行う。2017年にフランスでデビューCD“ベラ・バルトークとヴィルトゥオージティ”をリリース。
2020年夏には日本演奏連盟主催のリサイタルを東京文化会館小ホールで行い、音楽の友誌にて「…いかに作品の聴きどころを押さえ、超大作の構成を浮き彫りにし、最も大切なことに、奏者の大胆にして精緻、作曲家に忠実でありながら自己アピールにも優れた非凡なピアニズムを印象づける演奏であったか…」と高い評価を得る(萩谷由喜子評)。
これまでに内宮弘子、斎藤竜夫、松川儒、掛谷勇三、ヴァディム・サハロフ、トーマス・ヘル、ウエリ・ヴィゲットの各氏に師事。現在、東京を中心に演奏活動を行う。愛知県立芸術大学非常勤講師。
HP:https://www.takuyaotakipiano.com/
大植真太郎Shintaro Oue
1975年京都府出身。17歳で渡独し、バレエ界で若手の登竜門といわれるローザンヌ国際バレエコンクールでキャッシュプライス受賞。ドイツ(ハンブルグバレエ団)、オランダ(NDT)、スウェーデン(クルベリーバレエ)等、有名なバレエ団でダンサーとして活躍し、世界30カ国以上のステージに立つ。ダイナミックで躍動感のある肢体をダンサーとして認められると同時に振付家としても、ハノーバー国際振付コンクールにて最優秀賞、スカンジナビアグランプリ賞など、国際振付けコンペにて受賞多数している。C/Ompanyを2008年に柳本雅寛と平原慎太郎で立ち上げ作品を多からず少なからず創作。ダンスという枠にとらわれない破天荒な発想を併せ持ち、類いまれなる才能を評価されている。近年は笠井アキラ作品には多々出演しポスト舞踏に年一でなっている。
Twitter:https://twitter.com/ikitetai
HP:https://www.cslashompany.com/
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二回目の笠井アキラ作品出演後にこんな企画どう?ってルリちゃんから話があった(2022年11月)。アキラさんの作品は全て振り付けされているが舞台に上がるとそれを周到しつつ(僕にとってはそれ(振り)を踏みつつ)蹴散らすのが愉しい。蹴散らすとは聞こえが悪いかもしれないが、蹴散らして何処まで飛べるのか?ぐらいやらないとアキラ作品には出れないと思っている。そして今回は不確定要素が多いので尚更、振りを踏みつつ(キリシタン)、あちこちでそれらの隙間で遊ぶ?、いや遊んではいない、真面目にそれらから逃れる何某かの行為に及ぶのである。
アキラさん
全て振付されているにも関わらず、それらに隙間を探すのは中々難しい、
そしてこれは余談だが、アキラ振付は、先が全く読めない。今まで仕事した振付家なら大概、次のステップはこんな感じだろう、または次のステップはこれどう?って提案もできるのだが、アキラさんとはその状況に一度たりとなった事がない。
何故なのか?僕の中にいる一人が言う「そんなん、知らんがなぁ〜。」
知らない間は飽きる事がない。だから未だ飽きずにアキラ作品に出ているのだと思う。
みとうるりという人
この子はなんなのか?起伏の激しい感情が内側にそしてそれが外出たかと思ったら、、、延々とメビウスの輪のように、けれど延々に同じところにはいない、いそうに見えるんだけどなんか違う、なんなん?
アキラさんと同じく「そんなん、知らんがなぁ〜」と心にいる僕の相方が言う。 稽古に行くと「真面目に(まあ、それはダンサーとして当たり前だし、目上の人と接する際の最低限の在り方)振りを受けてる彼女がいる。いつもの彼女とは違いすぎる。
そこにメビウスの輪的な彼女はいない。ま、今は創作過程だから?かもしれないが、、、、。
関係ありそうな話
最近見ていたYouTubeで、舞台について語っていたものから思う事
「知らないモノを観には人はいかなくなりがち、なので僕は過程を見せて行く」と、ああ、確かにと思いつつ、、、。続く
三東瑠璃Ruri Mito
振付家・ダンサー。Co.Ruri Mito主宰。
「生きることが踊ること」。5歳からモダンダンスを始める。小学生にして「踊ることで生きる」と意識し、まっしぐら。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業後、2010年までダンスカンパニーLeni-Bassoに所属。また、スウェーデン王立バレエ団ゲストダンサーとしてヴィム・ヴァンデケイビュス振付『PUUR』、サシャ・ヴァルツ振付『Körper』に出演。16年よりダミアン・ジャレと名和晃平による『VESSEL』に参加。17年、Co.Ruri Mitoを設立、23年には、チェコ、ルーマニア、フランスをツアーし高い評価を得る。土方巽記念賞(17)、文化庁芸術祭新人賞(20)受賞。
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コメント
どうして今ここに辿り着いたのかというのは、やっぱり不思議なことで、説明し難いことだけれど、水切りのように投げた石がトン トン トンと跳ねて進んでいきました。
なんだか不思議な気持ちでいるので、このままずーっとそうなのかもしれないです。
- 不思議な関係① -
出会った日、いきなり目の前に現れた私をじっと見て、叡さんは、表情を変えずにいたので、私の内心は、ダラダラと汗をかき、この後の告白がうまくいくかどうかという不安に駆られ、どんな未来が待ち受けているのか、想像もできませんでした。
でも、今、私の前では、叡さんが飛んだり跳ねたりクルっと回って見せたり、そして微笑んだりしています。そうやって、笠井ワールドに引き込まれています。いや、私がただただ飛び込んだのかもしれません。
ここにいることが不思議なのに、必然を感じる、稽古1日目からそういった空気感です。
稽古1日目に何をしたか、、、、40分くらいだったかな、それ以上だったかもしれませんが、一緒に即興をするという時間でした。戸惑い、真剣、身を任せ、欲を持たず、結果を気にせず、預ける、感じる、私の身体はそんな感じで、そこに在ったと思います。身体を重ね合わせる、すごい時間。贅沢な時間でした。
- 不思議な関係② -
どういうわけか、真太郎さんとの関係にも、よくわからない空気を感じます。
存在してるのか、してないのか、時々わからなくなったり、この人可愛い!と思ったり、めちゃくちゃだなと思ったり、でも、とにかく真面目でピュアな人で、大好きな人です。それから、とても似てる部分が深い所にあって、選択するものは違ったとしても、強い繋がりを感じられる人。だから信頼できるのかもしれません。
どうして、私に出逢って、今も私の目の前にいるの?居てくれているの?
そんな疑問って持つものでしょうか?不思議な人~。
稽古での真太郎さんを見て、この先輩とどういう作品を作り上げられるのか、楽しみです。
それぞれの在り方や、自分について、もちろんすごく考えるけど、損得感情なんてなくなります。
私たちとっても真面目!笑
三東瑠璃インタビュー
まだ見ぬ「音楽と振付と身体」の新たな関係性を求めて
40歳という年齢が目前に迫った時、自身の創作だけでなく、〝ダンサーとしての自分を他の振付家の方に委ねて踊りたい〟という欲求が自分の中にあることに気づきました。負けず嫌いなところや、振りに真面目なところなど、実は振り付けられたものを踊るほうが向いているのではないか、という想いも以前からあったのです。そんな想いを近しいダンサー・振付家数人に話したところ、森山未來さんや柳本雅寛さんから「笠井叡さんと合うんじゃないかな」というアドバイスが。ちょうど、笠井さんと森山さん、辻本知彦さん、島地保武さん、大植真太郎さんらで創作・上演しているポスト舞踏派の公演があり、その打ち上げで笠井さんに紹介して下さる、という流れになったのです。
予想外に、ほぼ身内だけの打ち上げ会場に同席する私の強張りをしり目に、森山さんはご自分のペースで笠井さんに私を紹介。その場で、「出演したい!」と意志表明した大植さんの参加も決まり、恐らくは一番当惑されていらした笠井さんから「近々ワークショップをしましょう。天使館に来てください」との言葉をいただいて、『NOBODY IS HERE』は動き出しました
笠井さんのワークショップは、インプロビゼーション(即興)で二人共に踊り続けることもあれば、呼吸法や発声について教えて頂くこともあり、ヨーロッパの芸術や歴史、神秘主義に関してなど、笠井さんが造詣の深いテーマについてお話を伺うこともありました。正直に言うと即興に苦手意識のある私は、軽々とご自身の世界へと踊りながら飛翔される笠井さんの前で、どう存在すればいいのかわからなくなることも。それでも、贅沢で貴重なプライベート・レッスンであることに変わりはありません。
いただいた振付に関しては身体の構造的な違いに左右されない範囲ではできる限り正確に、その核にあるものを自分なりにしっかりつかまえて踊れるようにと心がけ、高い精度で自分のものにできるよう努めました。それでも、その日の体調や精神的なコンディションによって踊りは変化するもの。その際にも、「今日が一番(音楽と)合っていました」とか「前回のあの感じ良かったです」などと仰ることはあっても、全面的に否定するようなことを笠井さんは仰いません。また、強く「こうでなければならない」という言い方もされないので、時々「自分は笠井さんの振りが求めることに応えられているのか」心許なくなることもありました。それでも共に創る時間を積み重ねるうち、私の中にも少しずつ「笠井叡の踊り」が息づいていったのかなと、今、振り返ると思えます。
笠井さんの振りを踊らせていただくに当たり、普段の自分の創作と大きく違うのは「音楽」の存在とその扱いに関する部分でしょう。笠井さんとは音楽に関する話もよくしたのですが、最近のインスタライブでは「(音楽と共に踊ることで)記憶も、その人が今日までやってきたことも見えなくなる」と仰っていました。また、「(今回の作品は)作曲家を振付ける」のだとも。
私自身は音楽と合わせて踊ると、自分のリズムや表現、(ダンスに関して)考えていること、ひいては踊るエネルギーまでなくなってしまうような気がしてくる。だからわかりやすい構成やメロディのある音楽はあまり使わないのです。だから今回のように、笠井さんが選んだバッハとベートーヴェンという世界中知らない人のいない偉大なクラシックの作曲家のナンバーを使うならば、音楽に負けない何かをぶつけなければいけないとも思っていました。でも、先の笠井さんの言葉に従うならば、音楽と身体が対決する必要はないわけです。また笠井さんは、音楽を聴きながら振付の動線やポジショニングを「こうして描いておけば振付を思い出しやすいでしょう」と、描いて見せて下さることもあって。そこから振付が読み取れるかどうかは別として、その美しい線描も、笠井さんがイメージする音楽とダンスの関係性、その表れではあるのかな、と。音楽に合う・合わない、はまる・はまらない、拍子を取る・取らない。どちらにしても、これまで自分が考えて来た文脈とは違う舞台上での「音楽と振付と身体」、その関係性が見えてくるのかも知れず、そこは楽しみにしているところです。
そうして断続的にではあるものの、一年余りの時間を経て『NOBODY IS HERE』の創作は最終段階に入っています。スウェーデンから大植さんもやって来て、やって来た途端にその自由奔放さを全開にし、笠井さんと二人の創作とは異なるダイナミズムを稽古に持ち込んでくれました。ひたすら緻密に笠井さんの振りに臨む私とは対照的に、大植さんはまず笠井さんから放出されるエネルギーを受け取って踊るので、元にある振りよりも大きく激しい踊りになる。それは笠井さんの振付を、私よりはるかに長く数多く踊ってきたからできることなのだと思いますが、折角私と二人で踊るのならば、この二人でしかできないダンスに到達したいと思うのです。
なので、大植さんの自由過ぎるところは私が時に引き戻し、振りに忠実に踊ってもらったり、大植さんとの即興を笠井さんに見ていただいて作品の構成に活かしていただいたりという作業も行っています。
そうしてどこまでも創り続け、踊ろうとしても涯てはなく、笠井さんの振りは私の予想や想像をするりとすり抜け、上手く踊ろうとすることを拒むのです。そんな容易にはつかめない踊りを踊り切った時、「HERE(ここ)」にいるのは「NOBODY(誰でもない)」私、ということになるのかどうか……。
その涯てを、客席から観届けていただければ幸いです。
<インタビュー・執筆 尾上そら>
チケット情報
- 公演日程:2024年(全4回)
- 1月26日(金)19:00開演 ※アフタートークあり(笠井、三東、大植)
- 1月27日(土)13:00開演 ※アフタートークあり(笠井、三東、大瀧)
- 1月27日(土)17:00開演
- 1月28日(日)13:00開演
会場:東京芸術劇場シアターイースト
9月15日からチケット販売開始!
下記Googleフォームでのお申し込み(銀行振込)、又はPeatix(クレジットカード、他)にてご購入ください。
【Googleフォーム】https://forms.gle/qHrhRaqjP4AVefYJ6
【Peatix】https://rurimito.peatix.com/
チケット種類
一般5,000円/25歳以下3,500円/高校生以下1,000円
障がい者割(10%引き、介助者無料)
Co. Ruri Mito応援チケット
- ・5,500円(投げ銭500円分)
- ・6,000円(撮り下ろし写真紙焼き(KG判)1枚付き)
- ・7,000円(おすすめ指定席+撮り下ろし写真紙焼き(KG判)1枚付き)※前方後方のお好みをお伝えください!
- ・7,000円(カンパニーグッズ付き《トートバック、手拭い、ミニバックからお選びください》)
- ・究極にカンパニー支援チケット 10,000円(おすすめ指定席+撮り下ろし写真紙焼き(KG判)1枚付き+グッズ1つ+ゲネプロ見学)※前方後方のお好みをお伝えください!
- ◎カンパニーグッズは在庫がある限りとなります。第2希望までお知らせいただけますようお願いいたします。
東京芸術劇場「NOBODY IS HERE」チケットご購入者全員割引対象
シアタートラム公演「TOUCH-ふれる-#2」入場料1,000円引き
コメント
僕にとって振付とは、逆さまになった時間をたどること、その一歩一歩の歩行そのもの。ダンスには、作品を構成して舞台に作り上げる、僕の言葉で言えば作品主義と言う行為と、今向かっているダンサーの体を作品として作り上げていこうとする行為の2種類がある。 僕にとって振付とは構成そのものよりもそれを通してダンサーの新しい体を生み出したいのだ。それは僕1人ではできない。1組の男女が出会って新しい生命としての子が生まれるように。それは未知のカラダ。それは水晶のような気形透明体、天地開闢以来1度も存在したことのない未知のカラダでありたい!
心臓の中に 不壊の泉がある。壊せば壊すほどに誕生してくるものがある。瑠璃さんとはそんな泉だ。
外見から見える真太郎と彼のカラダの内部に入ってみる彼の内側の姿はあまりに隔たりが大きくその違いに僕はめまいを起こす。聖者でありながら、賊人である。人と寄り添っていきながら裏切りを隠そうとはしない。獣の本能が絹ごしの光に変わる真太郎の未知なる世界は予想することすら僕にはできない。破格のダンサー。
笠井叡